コリンエステラーゼ阻害薬

コリンエステラーゼ阻害薬の具体例

コリンエステラーゼ阻害薬は、認知症、特にアルツハイマー病の治療に使用される薬剤です。
脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの量を増やすことで、記憶力や認知機能の改善を目指します。

アルツハイマー病の患者の脳では、アセチルコリンという物質が不足しています。
そしてアセチルコリンは、脳の神経細胞同士のコミュニケーションを助ける重要な役割を持っています。
コリンエステラーゼ阻害薬は、アセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)の働きを抑えることで、脳内のアセチルコリン量を増やし、神経細胞間の情報伝達を改善します。

以下は、重症筋無力症などの治療薬としても使われるコリンエステラーゼ阻害薬の例です。

  • メスチノン錠60mg(60mg1錠)先発品 共和薬品
  • マイテラーゼ錠10mg(10mg1錠) アルフレッサ ファーマ
  • ウブレチド錠5mg(5mg1錠) 鳥居薬品
  • ジスチグミン臭化物錠5mg「NIG」(5mg1錠) 日医工岐阜工場
  • ジスチグミン臭化物錠5mg「テバ」(5mg1錠) 日医工岐阜工場
コリンエステラーゼ阻害薬の効果と副作用

コリンエステラーゼ阻害薬の主な効果には以下のようなものがあります。

  • 記憶力の改善
  • 注意力や集中力の向上
  • 日常生活動作の維持や改善
  • 行動・心理症状(BPSD)の軽減

これらの効果により、患者の生活の質が向上します。
ただし、病気の進行を完全に止めることはできず、症状の進行を遅らせる効果があると考えられています。

一方で、副作用にも注意が必要です。
主な副作用には以下のようなものがあります。

  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • めまい
  • 頭痛
  • 不眠

これらの副作用の多くは、薬の開始時や増量時に現れやすく、時間とともに軽減することが多いです。
しかし、症状が続く場合や気になる場合は、必ず担当医に相談しましょう。

コリンエステラーゼ阻害薬の使用上の注意点

コリンエステラーゼ阻害薬を使用する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 規則正しく服用する
    効果を最大限に引き出すため、指示された通りに服用することが重要です。

  • 急な中止を避ける
    突然服用をやめると、認知機能が急激に悪化する可能性があります。
    中止する場合は必ず医師の指示に従いましょう。

  • 定期的な診察を受ける
    効果の確認や副作用のチェックのため、定期的に診察を受けることが大切です。

  • 生活習慣の改善も並行して行う
    薬物治療だけでなく、適度な運動や社会活動への参加、バランスの取れた食事なども認知機能の維持に役立ちます。

コリンエステラーゼ阻害薬は、アルツハイマー病の症状改善に効果的な薬剤ですが、それぞれの患者に合わせた使用が重要です。
副作用や気になる点があれば、遠慮なく医療従事者に相談しましょう。