三環系抗うつ薬(第一世代)
- 三環系抗うつ薬(第一世代)とは?
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三環系抗うつ薬(TCA: Tricyclic Antidepressants)は、うつ病治療に使用される最も古い種類の抗うつ薬の一つです。
1950年代から長年にわたりうつ病治療の中心的な役割を果たしてきました。
その名前は、分子構造に三つの環状構造を持つことに由来しています。
第一世代の三環系抗うつ薬は、強力な抗うつ作用を持つ一方で、副作用も比較的強いことが特徴です。三環系抗うつ薬は通常、経口投与で使用されます。
一般的に低用量から開始し、徐々に増量していきます。
効果が現れるまでには2~4週間程度かかることが多いため、即効性を期待することはできません。主な効果としては以下のようなものがあります。
- うつ症状の改善
- 不安症状の軽減
- 睡眠の改善
- 痛みの軽減(慢性疼痛に対して)
うつ病以外にも、強迫性障害、パニック障害、慢性疼痛などの治療にも使用されることがあります。
- 主な三環系抗うつ薬(第一世代)とうつ病改善以外の用途
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第一世代の三環系抗うつ薬には、以下のような薬剤があります。
- アミトリプチリン (トリプタノール、ラントロン)
- イミプラミン (イミドール、トフラニール)
- クロミプラミン (アナフラニール)
- トリミプラミン (スルモンチール)
- ノルトリプチリン(ノリトレン)
- アモキサピン(アモキサピン)
- ロフェプラミン(アンプリット)
- ドスレピン(プロチアデン)
三環系抗うつ薬は、うつ病以外の症状に処方されることもあります。
例えば、アナフラニールは遺尿症やナルコレプシーに伴う情動脱力発作の改善などにも効果がありますし、トフラニールやイミドールも遺尿症の患者に処方されることがあります。
トリプタノールは夜尿症や神経障害性疼痛、頭痛発作予防などにも効果があるとされています。 - 三環系抗うつ薬の作用機序
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三環系抗うつ薬の主な作用機序は以下の通りです。
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セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害
シナプス間隙でのこれらの神経伝達物質の濃度を上昇させる -
ムスカリン性アセチルコリン受容体の遮断
副作用の原因となる一方、一部の症状改善にも寄与する -
ヒスタミンH1受容体の遮断
鎮静作用をもたらす -
α1アドレナリン受容体の遮断
起立性低血圧などの副作用の原因となる
これらの作用により、うつ症状の改善が期待されます。
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- 三環系抗うつ薬の副作用と注意点
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三環系抗うつ薬を使用する際は、以下の点に注意が必要です。
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副作用
・口内乾燥、便秘、排尿困難
・眠気、めまい
・体重増加
・性機能障害
・心血管系への影響(特に高齢者) -
相互作用
・MAO阻害薬との併用は禁忌
・アルコールとの相互作用に注意 -
過量投与のリスク
治療域と中毒域が近いため、自殺企図のリスクがある患者では注意が必要 -
突然の中止
離脱症状が出る可能性があるため、徐々に減量する必要がある
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三環系抗うつ薬(第一世代)として使われる医薬品成分
- ノルトリプチリン
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- イミプラミン
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- アモキサピン
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