EPO(注射)
- EPO(注射)とは?
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EPO(エリスロポエチン)注射は、腎性貧血の治療に使用される薬剤です。
EPOは、本来は腎臓で産生されるホルモンで、赤血球の生成を促進する働きがあります。
慢性腎臓病(CKD)患者では、腎機能の低下に伴いEPOの産生が減少し、貧血を引き起こします。
EPO注射は、この不足したEPOを補充することで貧血を改善する治療法です。EPO注射の主な効果は以下の通りです。
- ヘモグロビン値の上昇
- 赤血球数の増加
- 貧血症状(倦怠感、息切れ、動悸など)の改善
- QOL(生活の質)の向上
- 輸血の必要性の減少
- EPO注射の投与方法と効果
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EPO注射の投与方法には、主に以下の2つがあります。
- 皮下注射
- 静脈内投与
皮下注射は、主に保存期CKD患者や腹膜透析患者に適しています。
自己注射が可能な場合もあり、通院回数を減らすことができます。
注射の頻度は、2~4週に一度です。静脈内投与は、主に血液透析患者さんに適しています。
透析の際に投与できるため、追加の穿刺が不要です。
こちらも、注射の頻度は2~4週に一度です。ちなみに、飲み薬の場合はHIF-PH阻害薬として、1日1回服用します。
- EPO注射使用時の注意点
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EPO注射を使用する際は、以下の点に注意が必要です。
- 目標ヘモグロビン値を適切に設定し、過剰投与を避ける
- 定期的な血液検査でヘモグロビン値をモニタリングする
- 鉄欠乏の有無を確認し、必要に応じて鉄剤を併用する
- 血圧上昇に注意し、必要に応じて降圧薬を調整する
- 血栓症のリスクに注意する
- 抗EPO抗体産生による赤芽球癆の可能性に注意する
- 投与部位の痛みや発赤などの局所反応に注意する
EPO注射の効果を最大限に引き出すためには、十分な鉄の補給を意識すべきです。
鉄が不足していると、EPOの効果が十分に発揮されない可能性があります。
鉄分を多く含む食品(レバー、赤身肉、ほうれん草など)を積極的に摂取することも大事ですが、タンパク質を適切に摂取し、体力の維持に努めるよう心がけましょう。 - EPO注射と生活上の注意点
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EPO注射を受けている患者さんは、以下の生活上の注意点に気をつける必要があります。
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適度な運動
・体力に応じて軽い運動を行い、筋力と体力の維持に努める
・過度の運動は避ける -
感染予防
・手洗いやうがいを徹底し、感染症を予防する
・必要に応じてワクチン接種を検討する -
禁煙
喫煙は酸素運搬能力を低下させるため、禁煙を心がける -
水分管理
・適切な水分摂取を心がける
・透析患者は水分制限に注意する -
服薬管理
・EPO注射以外の処方薬も確実に服用する
・市販薬やサプリメントの使用は医師に相談する -
定期的な通院
指示された通院スケジュールを守り、定期的に検査と診察を受ける
薬と生活習慣の改善の二本柱で、症状改善を目指します。
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