活性型ビタミンD

活性型ビタミンDの特徴と種類

活性型ビタミンDは、体内でカルシウムとリンの代謝を調節する役割を果たすホルモンの一種です。
通常、皮膚で作られたビタミンDは肝臓と腎臓で代謝され、最終的に活性型ビタミンDになります。
しかし、腎臓の機能が低下している場合や、ビタミンD代謝に問題がある場合には、活性型ビタミンDを薬として投与することがあります。

主な活性型ビタミンD製剤には以下のようなものがあります。

  • カルシトリオール
    最も強力な活性型ビタミンDで、腎臓で作られる天然の活性型ビタミンDと同じ構造を持ちます。

  • アルファカルシドール
    肝臓で最終的な活性化を受ける前駆体で、腎機能が低下している患者でも使用できます。

  • マキサカルシトール
    合成の活性型ビタミンDで、副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する作用が強いのが特徴です。

  • ファレカルシトリオール
    カルシトリオールの誘導体で、より長時間作用するように設計されています。

これらの薬剤は、骨粗しょう症のリスクを減少させるために処方されることがあります。
また、慢性腎臓病に伴う二次性副甲状腺機能亢進症、ビタミンD欠乏性くる病* 骨軟化症、副甲状腺機能低下症などの治療に使用されます。

活性型ビタミンDの副作用

活性型ビタミンDを使用する際には、以下のような点に注意が必要です。

  • 高カルシウム血症
    最も重要な副作用の一つです。
    血中カルシウム濃度が上昇しすぎると、腎結石や軟部組織の石灰化などの問題が起こる可能性があります。

  • 高リン血症
    特に腎機能が低下している患者では、リンの排泄が妨げられるため、高リン血症に注意が必要です。

  • ビタミンD中毒
    過剰摂取によりビタミンD中毒症状(食欲不振、嘔吐、頭痛、倦怠感など)が現れることがあります。

  • 腎機能への影響
    高カルシウム血症を介して腎機能を悪化させる可能性があります。

  • 薬物相互作用
    カルシウム含有製剤、利尿剤、ジギタリス製剤などと相互作用を示す可能性があります。

活性型ビタミンDの適切な使用法

活性型ビタミンDは、血中カルシウム濃度や副甲状腺ホルモン(PTH)レベルなどを考慮しながら、個々の患者に適した用量が決められます。
血清カルシウム、リン、PTH、ビタミンDレベルなどを定期的に測定し、効果と副作用をチェックしていくことが大事です。

人によっては、カルシウムやリンの摂取量について、医師や薬剤師から指導を受ける場合があります。
特に腎機能が低下している患者では、リン制限食が必要になることがあります。

多くの場合、1日1回の服用で効果がありますが、医師の指示通りの時間に服用することが重要です。