Naチャネル遮断薬(APD不変)

Naチャネル遮断薬(APD不変)の特徴と種類

Naチャネル遮断薬(APD不変)は、不整脈の治療に使用される薬です。
心臓の細胞膜にあるナトリウムチャネルを強力にブロックしますが、活動電位持続時間(APD)にはほとんど影響を与えない特徴があります。
このため、Ic群に分類されます。

Ic群の主な薬剤には、フレカイニドやプロパフェノンがあります。
これらの薬は、主に心房性不整脈(心房細動や心房粗動など)や、上室性頻脈性不整脈の治療に用いられます。
また、一部の心室性不整脈の治療にも使用されることがあります。

フレカイニドは、強力なナトリウムチャネル遮断作用を持ち、心房細動の停止や再発予防に効果があります。
特に、器質的心疾患のない患者での使用が推奨されています。
また、上室性頻脈や、一部の遺伝性不整脈疾患(カテコラミン誘発性多形性心室頻拍など)の治療にも用いられることがあります。

プロパフェノンは、フレカイニドと似た効果を持ちますが、軽度のベータ遮断作用も併せ持つのが特徴です。
心房細動や心房粗動、上室性頻拍の治療に使用されます。
また、心室性期外収縮の抑制にも効果があります。

これらの薬剤は、他のNaチャネル遮断薬と比べて強力な抗不整脈作用を持ちますが、同時に心筋抑制作用も強いという特徴があります。

Naチャネル遮断薬(APD不変)の使用上の注意点

Naチャネル遮断薬(APD不変)は効果的な不整脈治療薬ですが、使用には注意点があります。

  • 心機能低下患者での使用制限
    心機能が低下している患者さんでは、心不全を悪化させる可能性があるため、使用を避けるべきです。
    特に左室駆出率が40%未満の患者では禁忌とされています。

  • 催不整脈作用
    不整脈を引き起こしたり、既存の不整脈を悪化させたりする可能性があります。
    特に、心筋梗塞の既往がある患者では注意が必要です。

  • 徐脈
    心拍数を低下させる作用があるため、過度の徐脈に注意が必要です。
    特に、高齢者や洞機能不全のある患者さんでは注意が必要です。

  • 他の薬剤との相互作用
    多くの薬剤と相互作用を示すため、他の薬を使用している場合は医師に伝える必要があります。
    特に、他の抗不整脈薬やベータ遮断薬との併用には注意が必要です。

  • 運動時の注意
    運動時に1:1房室伝導を引き起こし、心拍数が上昇する可能性があります。
    特に、心房粗動のある患者さんでは注意が必要です。

これらの副作用や注意点について、患者さんは医師や薬剤師とよく相談し、理解しておくことが大切です。