降圧薬
- 降圧薬の概要と種類
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降圧薬は高血圧症の治療に用いられる薬剤群です。
高血圧は心血管疾患のリスクを増やすため、適切な血圧管理で心筋梗塞や脳卒中などの予防をする必要があります。
降圧薬は作用機序によって以下のように分類されます。- カルシウム拮抗薬(CCB)
- アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
- 利尿薬
- β遮断薬
- α遮断薬
- 中枢性交感神経抑制薬
これらの薬剤は単剤で使用されるほか、複数の薬剤を組み合わせた配合剤も広く用いられています。
- 主な降圧薬の特徴
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カルシウム拮抗薬(CCB)は、降圧薬として7割以上の患者に処方されている薬と言われています。
血圧を下げる効果に加え、安全性の高さが評価されているからです。
1日1回の服用で効果を発揮します。
副作用には動悸や頭痛がありますが、高齢者も安心して服用できる点はメリットです。
グレープフルーツジュースを飲むと血圧がさらに下がってしまうことがありますが、過敏に意識する必要はありません。カルシウム拮抗薬の次に降圧薬として処方されているのは、アンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬(ARB)です。
血管を収縮させるアンジオテンシンIIというホルモンが、受容体に結合することを防ぎます。
こちらも1日1回の服用です。 - 降圧薬の選択と使用
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降圧薬の選択には以下の要因が考慮されます。
- 患者の年齢、性別、人種
- 合併症(糖尿病、心不全、腎疾患など)
- 副作用プロファイル
- 薬物相互作用
- コスト
一般的に、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬が第一選択薬として推奨されています。
しかし、個々の患者の状態に応じて最適な薬剤を選択することが重要です。多くの場合、単剤での治療から開始し、効果不十分な場合は増量や他剤の追加を検討します。
複数の薬剤を併用する場合は、異なる作用機序を持つ薬剤の組み合わせが効果的です。 - 降圧薬の副作用と注意点
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降圧薬の主な副作用には以下のようなものがあります。
- カルシウム拮抗薬:顔面紅潮、浮腫、頭痛
- ACE阻害薬:空咳、高カリウム血症、血管浮腫
- ARB:高カリウム血症、めまい
- 利尿薬:電解質異常、高尿酸血症、脱水
- β遮断薬:徐脈、疲労感、勃起障害
降圧薬を使用する際には、定期的な血圧測定と副作用チェックが必要です。
急激な血圧低下を避けるため、低用量から開始し徐々に増量しましょう。
また、人によっては腎機能や電解質バランスの定期的なチェックも行います。
妊娠可能な女性では、妊娠中の使用に注意が必要な薬剤もあります。