ドロキシドパ
- ドロキシドパの概要と適応症
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ドロキシドパは、主に起立性低血圧の治療に用いられる薬剤です。
1989年に日本で初めて承認されました。
ドロキシドパは特に起立時の血圧低下を予防し、起立性低血圧の症状を改善します。ドロキシドパの主な適応症は以下の通りです。
- 起立性低血圧
- シャイ・ドレーガー症候群(多系統萎縮症の一種)
- パーキンソン病に伴う起立性低血圧
- 透析患者の低血圧
- 家族性アミロイドポリニューロパチーにおける起立性低血圧
- 失神
- たちくらみ
- 起立性低血圧を伴う血液透析患者のめまいやふらつき
- けん怠感
- 脱力感
ドロキシドパは、通常、成人には1日100~600mgを3回に分けて経口投与します。
患者の状態に応じて適宜増減しますが、1日最高用量は900mgとされています。
隔日に100mgずつ増やしていく特徴があります。使用上の注意点として、効果発現までに数日から数週間かかる場合があることや、突然の休薬は避け、徐々に減量する必要が挙げられます。
しかし、食事の影響を受けにくいため、食前* 食後を問わず服用可能です。 - ドロキシドパの副作用と相互作用
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主な副作用には以下のようなものがあります。
- 高血圧(特に臥位)
- 頭痛
- 悪心・嘔吐
- 動悸
- 不整脈
- 不眠
これらの副作用の多くは、ノルアドレナリン増加に伴う交感神経系の過剰な活性化によるものです。
相互作用に注意が必要な薬剤はこちらです。
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MAO阻害薬
ドロキシドパの作用を増強する可能性があります。 -
交感神経作動薬
相加的に作用が増強される可能性があります。 -
ノルアドレナリン再取り込み阻害薬
作用が増強される可能性があります。 -
三環系抗うつ薬
相加的に作用が増強される可能性があります。
- ドロキシドパの臨床的意義と今後の展望
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ドロキシドパは特に、自律神経障害に起因する起立性低血圧に対して有効性が高いとされています。
その理由として生理的なノルアドレナリン前駆体であるため、体内で自然に代謝されることや、中枢神経系への移行が少なく、末梢での作用が主体となること、長期使用での安全性が比較的確立されていることが挙げられます。今後の展望としては、以下が期待されています。
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投与方法の改善
持続性製剤の開発により、より安定した血圧コントロールが期待されています。 -
併用療法の最適化
他の低血圧治療薬との最適な併用方法の確立が進められています。 -
新たな適応症の探索
他の低血圧関連疾患への適応拡大の可能性が研究されています。
ドロキシドパは、起立性低血圧の治療においてなくてはならない薬です。
しかし、その使用には慎重な血圧チェックと副作用管理が必要です。 -