アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
- アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とは?
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ACE阻害薬は降圧薬の一種です。
この薬剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)というアンジオテンシンIIを生成する酵素を阻害することで、血圧を下げる効果を持ちます。ACE阻害薬は、以下のような疾患や状態の治療に使用されます。
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高血圧症
単剤または他の降圧薬との併用で使用されます。 -
慢性心不全
心機能を改善し、生命予後を改善する効果があります。 -
心筋梗塞後の二次予防
心筋梗塞後の患者の生命予後を改善します。 -
糖尿病性腎症
蛋白尿を減少させ、腎機能低下を遅らせる効果があります。
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- 代表的なACE阻害薬と特徴
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主なACE阻害薬には以下のようなものがあります。
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エナラプリル
最も一般的に使用されるACE阻害薬の一つです。 -
リシノプリル
腎排泄型で、肝代謝を受けないため、肝機能障害患者にも使用しやすいです。 -
ラミプリル
組織親和性が高く、長時間作用型です。 -
カプトプリル
作用発現が早く、短時間作用型です。
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- ACE阻害薬の副作用と注意点
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ACE阻害薬は比較的安全性の高い薬剤ですが、以下のような副作用や注意点があります。
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空咳
最も特徴的な副作用で、15-20%の患者に発生します。
咳で困る場合は、タナトリルという空咳の少ない薬への切り替えも検討できます。 -
血管浮腫
顔面や舌の腫脹が起こることがあり、非常に稀ですが重篤な副作用です。
急に、唇やまぶた、口の中が大きく腫れる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡するようにしましょう。 -
初回投与時の急激な血圧低下
特に高度の心不全患者や高齢者で注意が必要です。
その他に、めまい、頭痛、不眠、眠気を感じる方もいます。
そのため、飲み始めには体調に注意し、自動車などの運転や高所での作業は避けることをおすすめします。 -
- ACE阻害薬の使用における留意点
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ACE阻害薬を効果的かつ安全に使用するために、以下の点に注意する必要があります。
- 腎機能と血清カリウム値を定期的にチェックする
- 他の降圧薬やNSAIDsとの相互作用に注意する
- 空咳が持続する場合は、他の薬への切り替えを検討する
- 高齢者では低用量から開始し、慎重に増量する
ACE阻害薬は、高血圧や心不全の治療において重要な役割を果たす薬剤です。
単なる降圧効果だけでなく、心血管系や腎臓の保護効果も期待できます。
しかし、個々の患者の状態や他の疾患を考慮し、必要に応じて用量調整と副作用チェックを行うことが大切です。
また、生活習慣の改善と併せて使用することで、より効果的な治療成果が得られます。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬として使われる医薬品成分
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