高脂血症治療薬

高脂血症治療薬とは?

高脂血症治療薬は、血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)の異常値を改善するために使用される薬です。
動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳卒中など)の予防や治療に効果があります。
高脂血症治療薬には複数の種類があり、それぞれ異なる作用機序や特徴を持っています。

高脂血症治療薬をその作用から大きく3つに分けると、コレステロール値を下げる薬剤、コレステロール値と中性脂肪値の両方を下げる薬剤、中性脂肪値を下げる薬剤に分かれます。

具体的な薬には、以下のようなものがあります。

  • HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)
  • ベザフィブラート製剤
  • 陰イオン交換樹脂
  • ニコチン酸誘導体
  • オメガ3-脂肪酸製剤
  • 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
  • PCSK9阻害薬

それぞれの役割は異なり、患者の症状や体質などによって適切な薬は異なります。

脂質異常症における食事療法

脂質異常症(高脂血症)の治療には、上記のような薬で薬物治療も行われますが、食事療法と運動療法も重要な役割を果たします。
生活習慣の改善は、薬物療法を開始する前の第一選択肢として、また薬物療法と併用して行われる基本的な治療法となります。

食事療法では、以下を目標にします。

  • カロリー制限
    ・適正体重の維持を目指し、過剰なカロリー摂取を避ける
    ・BMIが25以上の場合、3~6ヶ月で5%程度の体重減少を目標とする

  • 脂質摂取の調整
    ・総脂質摂取量を総エネルギーの20~25%に抑える
    ・飽和脂肪酸の摂取を7%未満に制限する
    ・トランス脂肪酸の摂取を可能な限り減らす

  • コレステロール摂取の制限
    ・1日200mg以下を目標とする
    ・卵黄、レバー、脂肪の多い肉類の摂取を控える

  • 炭水化物の質の改善
    ・精製糖や白米の摂取を減らし、全粒穀物や食物繊維の摂取を増やす
    ・糖質制限(総エネルギーの50~60%程度)を考慮する

  • タンパク質摂取
    ・総エネルギーの15~20%程度を目安とする
    ・植物性タンパク質(大豆製品など)の摂取を増やす

  • アルコール摂取の制限
    過度な飲酒を避け、適度な摂取量(日本酒換算で1日1合程度)を守る

脂質異常症における運動療法

また、運動療法には以下があります。

  • 有酸素運動
    ・ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどを行う
    ・週3~5回、1回30分以上の運動を目標とする
    ・中等度の強度(心拍数が最大心拍数の60~75%程度)で行う

  • レジスタンス運動
    ・筋力トレーニングを週2~3回程度行う
    ・主要な筋群を対象とし、8~12回の反復を2~3セット行う

  • 日常生活での活動量増加
    ・階段の使用、徒歩での移動など、日常的な身体活動を増やす
    ・1日10,000歩を目標とする

  • 運動の継続性
    ・無理のない範囲で継続的に運動を行う
    ・楽しみながら行える運動を選択する

  • 安全性への配慮
    ・運動開始前に医師の診察を受け、適切な運動強度を決定する
    ・高齢者や心疾患のリスクがある場合は、特に注意が必要

高脂血症治療薬として使われる医薬品成分

ナイアシン
ナイアシンは、ビタミンB群の一つで、ビタミンB3とも呼ばれています。人体にとって不可欠な栄養素であり、食事から摂取する必要があります。ナイアシンには、ニコチン酸とニコチンアミドの2つの形態があり、どちらも体内で同様の働きをします。 エネルギー代謝のサポート* ナイアシンは、体内でNAD(ニコチンアミドアデ...
カルニチン
カルニチンはアミノ酸の一種で、体内でエネルギー生産に重要な役割を果たしています。肝臓と腎臓で合成され、食事からも摂取できます。特に、脂肪酸をミトコンドリアに運搬する機能があり、エネルギー代謝に欠かせない物質です。 脂肪燃焼のサポート* カルニチンは、長鎖脂肪酸をミトコンドリア内に運び込む「シャトル...