5-HT3受容体拮抗薬
- 5-HT3受容体拮抗薬の特徴と例
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5-HT3受容体拮抗薬は、主に制吐剤として使用されますが、その他の消化器症状の改善にも効果があります。
代表的な5-HT3受容体拮抗薬には以下のものがあります。
- オンダンセトロン
- グラニセトロン
- トロピセトロン
- ラモセトロン
- パロノセトロン
これらの薬剤の基本的な作用機序は共通しています。
上記のうち過敏性腸症候群に効果があるのはラモセトロンで、具体的な商品名には「イリボー」があります。
過敏性腸症候群の下痢型の患者に処方されることがあり、症状によって服用量を調節します。しかし、下痢型だと思っていたら混合型と診断されたりと、自己判断だけではイリボーが適切かどうかわかりません。
例えば、混合型なのにイリボーを飲んだら、便秘が悪化する可能性もあります。まずは医師に相談し、腸に異常がないか検査することをおすすめします。
過敏性腸症候群では、つらい症状があっても腸内に異常が見られないからです。
そして、過敏性腸症候群ならどのタイプか教えてもらうと良いでしょう。 - 5-HT3受容体拮抗薬が効く症状
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5-HT3受容体拮抗薬が効果を示す症状は、以下の通りです。
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化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)の予防と治療
がん化学療法に伴う急性期および遅発性の悪心・嘔吐の予防と治療に広く使用されています。
特に高度催吐性の抗がん剤治療時には、標準的な制吐療法の中心的役割を果たします。 -
放射線療法による悪心・嘔吐の予防と治療
全身または上腹部への放射線照射に伴う悪心・嘔吐の管理に有効です。 -
術後悪心・嘔吐(PONV)の予防と治療
全身麻酔下での手術後に発生する悪心・嘔吐の予防と治療に使用されます。 -
過敏性腸症候群(IBS)の症状改善
下痢型IBSの患者において、腹痛や下痢症状の改善に効果を示すことがあります。 -
緩和ケアでの使用
進行がん患者の悪心・嘔吐の管理や、オピオイド使用に伴う副作用の軽減に用いられることがあります。 -
妊娠悪阻の治療
重症の妊娠悪阻に対して、他の治療法が無効な場合に使用されることがあります。
ただし、妊婦への使用には慎重な判断が必要です。
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- 5-HT3受容体拮抗薬の使用上の注意点
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5-HT3受容体拮抗薬は安全性の高い薬剤ですが、頭痛、便秘、めまいなどの副作用が報告されています。
一部の患者でこのような症状が出ますが、基本的にはそこまで心配する必要はありません。ただし、薬物相互作用には気を付けましょう。
特定の薬剤との併用時に用量調整が必要な場合があります。長期使用による耐性に関しても問題はありませんが、効果の減弱が見られる場合は別の薬剤への切り替えを検討しましょう。