鎮けい薬

鎮けい薬の作用機序と種類

鎮けい薬は、主に消化管や泌尿生殖器の平滑筋の異常な収縮を抑制する薬剤です。
その作用機序は大きく2つに分類されます。

  1. 抗コリン作用
    アセチルコリンの作用を阻害し、平滑筋の収縮を抑制します。
    代表的な薬剤にブチルスコポラミン臭化物があります。
    市販でも買える薬はブスコパンと言います。
    これらは副交感神経遮断作用により、消化管運動や胃酸分泌を抑制します。

  2. 直接的平滑筋弛緩作用
    パパベリンやチメピジウムなどは平滑筋を弛緩させます。
    痙攣により起こる内臓の痛みを取ります。

鎮けい薬は何に効く?

鎮けい薬は様々な症状や疾患に対して使用されます。

  • 消化器系疾患
    過敏性腸症候群、胆石症、胃・十二指腸潰瘍などの疝痛発作に用いられます。
    特に、急性の腹痛や腹部痙攣の緩和に効果を示します。

  • 泌尿器系疾患
    尿路結石による疝痛や膀胱痙攣の治療に使用されます。
    特に、尿管結石による激しい痛みの緩和に有効です。

  • 婦人科疾患
    月経困難症や子宮内膜症による疼痛管理に用いられます。
    子宮平滑筋の収縮を抑制し、痛みを軽減します。

  • 内視鏡検査前処置
    消化管の蠕動運動を抑制し、より鮮明な画像を得るために使用されます。

  • 外出中の下痢
    下痢止め薬のロペラミドなどと併用することで、より効果的に症状を改善できることがあります。

  • 過活動膀胱
    一部の鎮けい薬は、頻尿や尿意切迫感の改善に使用されます。

  • 気管支喘息
    一部の鎮けい薬には気管支拡張作用があり、喘息発作の緩和に補助的に用いられることがあります。

市販で買えるブスコパンとは?

ドラックストアなどで買える代表的な鎮けい薬のひとつに、ブスコパンがあります。

「ブスコパンA錠」などの名前で販売されており、胃痛、腹痛、さしこみに効果があります。
ブチルスコポラミン臭化物が配合されており、1回1錠で優れた効果を発揮します。

特に、旅先での急な胃の痛みや、飲食後の急な胃痛・腹痛、キリキリするタイプの胃の痛みにも効きます。
胃酸過多、胸やけによる症状を緩和します。

ブスコパンA錠は、1回量を1日3回まで飲めます。
水又はぬるま湯で服用する錠剤で、服用間隔は4時間以上おきます。

ブスコパンを飲むにあたって医師に相談すべき人は、以下の通りです。

  • 医師の治療を受けている方
  • 妊婦又は妊娠していると思われる方
  • 高齢者
  • 薬などによりアレルギー症状を起こしたことがある方
  • 排尿困難な方
  • 心臓病、緑内障の診断を受けた方

むやみに便意を止めるべきでない場合もありますが、外出先で急にお腹が痛くなったときなどには心強いお守りとなります。