膨張性下剤・浸潤性下剤
- 膨張性下剤の作用機序と特徴
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膨張性下剤は、水分を吸収して膨張する性質を持つ物質を主成分とする下剤です。
腸管内で水分を吸収し、体積を増大させることで便を軟化させ、腸管の蠕動運動を促進します。
主な作用機序は以下の通りです。-
水分吸収による膨張
腸管内で水分を吸収し、体積を増大させます。 -
便塊の軟化
吸収した水分により便を柔らかくします。 -
腸管刺激
膨張した物質が腸管壁を刺激し、蠕動運動を促進します。 -
腸管内圧上昇
便塊の増大により腸管内圧が上昇し、排便反射を誘発します。
膨張性下剤は通常、粉末や顆粒状で提供され、水やジュースに溶かして服用します。
効果の発現は比較的緩徐で、通常服用後12~24時間程度で効果が現れます。 -
- 浸潤性下剤の作用機序と特徴
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浸潤性下剤は、便に浸透して水分を保持し、便を軟化させる作用を持つ薬です。
主に界面活性作用を持つ物質で構成されており、以下のような作用機序を持ちます。-
便塊への浸透
薬剤が便塊の表面張力を低下させ、内部に浸透します。 -
水分保持
浸透した薬剤が便塊内の水分を保持します。 -
便の軟化
保持された水分により便が軟化します。 -
滑剤効果
薬剤自体が潤滑剤として作用し、便の通過を助けます。
通常、経口投与で使用されますが、一部は坐剤や浣腸液としても利用されます。
効果の発現は比較的速く、多くの場合24時間以内に効果が現れます。 -
- 膨張性下剤と浸潤性下剤が効果を発揮する症状
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膨張性下剤と浸潤性下剤は、主に以下のような症状に使います。
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慢性便秘症
特に食物繊維摂取不足による便秘に効果的です。 -
過敏性腸症候群(IBS)の便秘型
腹痛を悪化させずに便通を改善します。 -
妊婦の便秘
胎児への影響が少ないため、妊娠中の便秘治療に適しています。 -
高齢者の便秘
刺激性が低く、長期使用が可能なため、高齢者に適しています。 -
痔核や裂肛などの肛門疾患がある患者
便を軟化させることで、排便時の痛みを軽減します。
症状の原因によっては、薬だけでなく食事療法や運動療法と組み合わせることで、より効果的に便秘を改善できることがあります。
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- 副作用と使用上の注意点
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膨張性下剤と浸潤性下剤を使用後には、以下のような副作用が現れる方もいます。
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腹部膨満感
特に膨張性下剤で起こりやすく、服用初期に現れることがあります。 -
腹痛や腹部不快感
過剰使用や急激な増量で生じる可能性があります。 -
腸閉塞
まれですが、特に脱水状態や腸管運動が低下している患者で注意が必要です。 -
アレルギー反応
特定の成分に対するアレルギーがある患者では注意が必要です。
体質や服用している薬に関して心配事があれば医師に伝え、膨張性下剤や浸潤性下剤を飲んでも大丈夫か聞いておきましょう。
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