ベンザミド系

ベンザミド系薬剤の特徴と効果

ベンザミド系薬剤は、ベンズアミド系抗精神病として統合失調症の治療に使いますが、消化器系の症状改善に使用される薬でもあります。
当初は胃薬として開発されたのですが、後にうつ病、うつ状態の治療にも使われるようになりました。
ここでは、胃症状における働きを見ていきます。

ベンザミド系薬剤は、胃腸の運動を改善し、様々な消化器症状を和らげる効果があります。
ベンザミド系薬剤の主な特徴は、ドパミン受容体に作用し、消化管運動を調節することです。

ベンザミド系薬剤の主な効果は以下の通りです。

  • 消化管運動の促進
    胃や腸の動きを活発にし、消化を助けます。

  • 制吐作用
    吐き気や嘔吐を抑える効果があります。

  • 胃排出能の改善
    胃から十二指腸への食物の移動を促進します。

  • 逆流抑制
    胃食道逆流を軽減する効果があります。

代表的なベンザミド系薬剤

胃薬として役立つのは、以下の薬です。

  • モサプリド
    消化管運動改善薬として広く使用されています。

  • シサプリド
    胃食道逆流症の治療に用いられていましたが、現在は心臓への副作用のため多くの国で使用が制限されています。

  • イトプリド
    機能性ディスペプシアの治療に使用されます。

  • メトクロプラミド
    制吐薬としても知られていますが、ベンザミド系の特性も持っています。

使用される主な症状や疾患

ベンザミド系薬剤は、以下に挙げるような症状を改善します。

  • 機能性ディスペプシア
    胃もたれ、早期満腹感、上腹部痛などの症状を改善します。

  • 胃食道逆流症(GERD)
    胃酸の逆流を抑え、症状を軽減します。

  • 慢性胃炎
    胃の不快感や痛みを和らげます。

  • 術後イレウス
    手術後の腸閉塞の予防や治療に使用されることがあります。

ベンザミド系薬剤を使用する際の注意点と副作用

肝臓や腎臓に問題がある人や高齢者では副作用が出やすいため、低用量から開始することがあります。
また、妊娠中や授乳中の女性は、医師と相談の上で使用するか決めましょう。
他の薬との相互作用があることがあるため、使用中の薬がある場合は必ず医師に伝えましょう。

ベンザミド系薬剤は比較的安全な薬剤ですが、人によっては以下のような副作用も起こりえます。

  • 下痢
  • 腹痛
  • 頭痛
  • めまい
  • 発疹

これらの副作用のほとんどは軽度で一時的なものですが、症状が長引いたり、重度になったりした場合は必ず医師に相談してください。
もし、ベンザミド系薬剤を使っていて副作用が酷いなら、代替療法として以下を考えてみるのも良いでしょう。

  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
    胃酸の分泌を強力に抑制する薬剤です。

  • H2受容体拮抗薬
    胃酸の分泌を抑える別タイプの薬剤です。

  • 制酸薬
    胃酸を中和する薬剤です。

  • 漢方薬
    六君子湯などが消化器症状の改善に使用されることがあります。